「この小娘か、我々の宿敵、というのは……?」
 その少女はやけに小さく見えた。全身を黒のレオタードに身を纏っている。つや消しの
加工がされているのか、部屋の明かりにも過剰な反射をせず、薄い光沢だけを見せていた。
両手両足も同素材のロンググローブとロングブーツに覆われている。特殊な素材なのか、
少女が身じろぎしても衣擦れの音一つ立てない。
 だが、その衣装の中で一部だけ奇異なところがあった。レザースーツに覆われていない
一部の部分は、代わりに網状のタイツで覆われていたのだ。
「は。内情の犬です」
「我らの宿願を阻む、政府のくノ一か……」
 二人の男は、鎖で両手両足を雁字搦めに拘束され、床に横たわる娘を睨み付ける。だが、
くノ一と呼ばれたその娘は視線を真っ向から受け返す。少女の放った視線におもわずそら
寒い物を覚え、一人の男は目をそらした。

 内情とは、内閣情報調査室の略である。昨今、怪異な力が世にあふれ始めた。昔から
「お化け」とか「妖怪」とか言われていた空想上の生き物と思われていた存在。それが現
実に世の中に現れ始めた。彼らは魔界の門を通り、またあるいは呪術を使い、人間の世へ
と現れる。それらに対処するのは警察の特殊部隊の任務であったが、さらに質の悪い連中
が居る。それが、人間達自身が呼び出した妖魔である。
 妖魔は容易なことでは死ぬことはないし、雑魚クラス程度ならば呼び出すのにもさほど
の苦労は要しない。兵士としては最適である。が、唯一にして絶対の欠点があった。制御
がきわめて難しいのである。大量に使役するにはそれ相応の術者が必要だし、暴走しない
よう定期的に女性を与えねばならない。妖魔の主食は女性の精神。それは快楽であれ恐怖
であれなんでもいい。とにかく女性の心を壊し、肉を貪らせてさえ置けばいいのである。
とはいえ、まともな国家ならばそんなもの、いくらコストパフォーマンスが良くても使わ
ない。いや、使えない。
 そうなれば、そんな物を使いたがるような連中は限られてくる。テロ組織である。低コ
ストで効率よく破壊活動が行える。おおよそ資金が乏しい彼らにとって最適である。その
ため、日本では妖魔テロが頻発した。警視庁公安部も躍起になって彼らの摘発に当たった
が、いかんせんテロリストの操る妖魔には、一般人では手が出ない。
 そこで、政府内部に極秘裏に設置されたのが「内閣情報調査室」である。表向きはいわ
ゆる調査・分析組織であったが、実体は対妖魔テロ捜査機関である。古代の怪物に対抗す
べく、古くから妖魔と戦ってきた「魔狩の里」というくノ一集団の精鋭達を集め、組織的
に彼らに対抗を試みたのである。
 その任務は過酷を極めた。妖魔の存在自体は未だ国民に公表されていない。警察内部で
も存在を知るものはそう多くない。よって、警察の協力を得ることも出来ない。要は、何
が起こっても彼女らを助けてくれる者は居ないのである。囚われたくノ一がいかなる運命
をたどるのかは、戦国時代の昔から決まっていた。
 
「しかし可愛い顔してるじゃないか、この女……。化け物共にくれてやるのが惜しいぐら
いだぜ」
 軍服の男がそういって、くノ一の顎を掴んで顔を向けさせる。なるほど気の強い風貌を
しており、目鼻立ちもきりっと通っている。目はつり上がり気味であるが、それもまた氷
のような美しい顔貌に花を添えていた。
「おい、よせ。そいつは腐ってもくノ一だ、何をするかわからんぞ」
 背広姿の男がそう制止するが、軍服はその意見を笑い飛ばす。
「なにびびってるんだ、こいつはこの超鋼製チェーンでほれ、この通りぐるぐる巻きだぜ? 
何ができるって――」
 いうんだよ。の「い」を発音する口の形のまま、軍服男の首はゴキリ、という鈍い音を
立てて九十度右へ回転していた。
「!!」
 その異様な音に驚き、目を向けた背広男。そこには無惨にも首の骨をへし折られて絶命
した軍服男の姿と、今まで少女を縛っていた鎖があるだけで、くノ一の姿は何処にもない。
「――はっ!?」
 突如、男の視界が暗くなった。
「上かっ!!」
 と思ったときにはもう遅い。黒い影となった少女はあっという間に背広男の背後に回り
込んでいた。そして、エナメルグローブに包まれた手で男の首筋をわしづかむ。
「……女だと思って、油断したわね」
 くノ一の少女は初めて口を開く。その声は良く通ったが、どこか冷たさを感じさせた。
感情という物が全く感じられないのだ。
「油断したわけではないさ。あいつは昔から女好きでね。いつかそれで命を落とすハメに
なるだろう、とは思っていたよ」
 背広男はいかにも情けない、といった感じで溜息をついた。
「あなた達のボスは何処?」
「教えられんな」
「どうしても?」
「ああ」
「じゃあ……あなたに用はないわ」
 そういうとくノ一は首にかけた手の力を入れ、一瞬で男の首をへし折った。背広男は哀
れ首の骨を折られ絶命……は、しなかった。いつまでたっても崩れ落ちないのである。
「驚いたか? 嬢ちゃん。俺は、もう人間じゃないのさ。この程度で死んだりはしないよ。
くっくっく……」
 不気味な含み笑い。くノ一は一瞬背筋にゾクリとした悪寒が走るのを感じた。
(まずいっ!)
 本能的にそう思って飛び退き、男と距離を取ろうとしたくノ一少女だったが、その動き
は一瞬遅かった。背広男の背広を突き破り、無数の触手が飛び出してきたからである。
「うっ、あっ!!」
 男から十センチと離れていない至近距離では、いかなくノ一とはいえ対応することは不
可能である。レザーレオタードに包まれた胴体や、両手、両脚に幾本もの触手が絡みつい
た。エナメルの長手袋に包まれた両腕にぎちぎちと触手がめり込み、同じくロングブーツ
に包まれた、引き締まった太股やふくらはぎにも食らいつく。触手は先ほどまで少女が拘
束されていた鎖と同じような形状をしていたが、その弾力と、堅さを兼ね備えた質感から
はどうしても逃れられない。まさに肉鎖といえる代物によって、くノ一は完全に拘束され
てしまっていた。
 そのまま肉を断ち切られてしまうのではないかというほどに強く締め付けられ、少女く
ノ一は苦悶の声を上げる。
「さて、さっきおまえさんは俺に質問したが、今度は俺の番だ。そうだな……。まず名前
でも聞こうか?」
 本性を現したか、背広男の口調が乱暴な物へと変わっていた。妖魔は欲望の化身でもあ
る。その姿になった以上、本来の口調を隠す必要もないのであろう。
「……」
 無論、少女は答えない。答える気もなかった。
「そうか、ならこうしてやれば、話す気になるんじゃないのか?」
 というと、男はくノ一の腕に巻き付けた触手を無造作にねじり上げ、そして一気に締め
付けた。
 ぐぎぐいぐいぎぃっめぎぃっ! ごぎん!!
「ぎっっ……!!」
 その瞬間に骨がへし折れる、イヤな音が辺りに響き渡った。そしてくノ一の長手袋に包
まれた右腕が、あらぬ方向を向いてだらりと垂れ下がる。この男は、いともあっさりと腕
の骨を粉砕させてしまったのである。
「ぅ……あぁっ!」
 様々な拷問に耐える訓練を積んできた少女だったが、流石にこの責めは耐えかねた。生
半可では声一つすらあげない自信もあったのだが、腕の骨をバラバラにされるという恐ろ
しい苦痛に、ついつい悲鳴と苦痛の叫びを上げてしまう。少しでも身をよじれば砕けた骨
が滅茶苦茶に痛み、右腕全体がもぎ取られたかのようだった。
「これでもしゃべれないか?」
「……っ!」
 痛みに涙をにじませながらも、少女の瞳は未だ闘志を失っては居ない。視線だけで人が
殺せるのであれば、百万回は男を殺せそうな殺意がこもった目線を返す。だが、そんな態
度は妖魔と化した男の嗜虐心を煽るだけだ。
「粋の良い小娘だ。腐ってもくノ一、ってところか。だがなぁ、意地を張ってると、ろく
な事はねえぜ!」
 そういうと、今度は残った左腕に巻き付けた触手を一気に巻き絞める。一瞬にして肉の
凶器がエナメルのグローブに包まれた腕に食い込み……。
 ごきごきごきごきっ! めきゃぁっ!
「ぎゃあああああああ!?」
 右腕と同じように、左腕を粉砕してしまった。再び腕がねじ切れそうなほどの激痛が少
女の全身を支配した。身体が知らず知らずのうちに痙攣してしまい、エナメルスーツに覆
われた発達途上のボディがびくんびくんとのけ反ってしまう。
 これで、両腕が完全に破壊された。反撃の道はほとんどたたれたも同然である。
「もう一度聞く。これで答えなかったら、今度は両脚を壊す。おまえの、名前は?」
 男の有無を言わせぬ、冷徹な口調。答えなければ本当にやるだろう。そして、両脚すら
も破壊されてしまえば、逃走することすらも出来なくなってしまう。しかし、闇に生きる
くノ一として、拷問されたとはいえ自らの名を語らねばならないのは屈辱ではあった。
「……一葉……」
 その声は小さく、かろうじて聞き取れるかとれないかという物だった、歯がみしながら
つぶやいたのは、決して苦痛の所為のみではない。
「そうか、一葉ってぇのか。よし、一葉。おまえ等の仲間は何処に忍び込んでるんだ?」
「……!」
 それこそしゃべれなかった。自分の名前程度ならともかく、捜査情報を漏らすなどと言
うのは仲間達に対する裏切りである。それどころか、仲間を危険にさらす行為でもある。
 押し黙ってしまった少女に向かい、妖魔は不満そうに溜息をついた。
「……まだ痛い目にあい足りないようだなぁ……」
 そういうと、妖魔の触手が数本束になる。そして、常軌を逸した太さの肉棒が作り上げ
られた。その太さは二リットルのペットボトルほどはあり、しかも胴には小指一つ分ぐら
いのコブや、トゲと形容した方が良さそうなイボなどが無数にちりばめられていた。
「言わないなら、コレをぶち込むぞ」
 肉凶器が、一葉の股間にあてがわれた。しかも、身体を縛り付ける肉鎖ごと、である。
(……ひっ……!)
 一葉は内心で息を呑んだ。こんな物を、しかも鎖ごとねじ込まれたら自分の身体は真っ
二つになって死んでしまう……! しかし、仲間の事をしゃべることは出来ない。自分の
命と引き替えにしてでも……! 一葉は悲壮な決心を堅め、口を堅く引き結んだ。
「そうかい、ならこいつを気が変わるまでじっくりと味わいな!」
 その言葉を合図に、肉棒が一気に、一葉の濡れてもいない秘唇へと押し込まれた。
 めぎぃっ! みしぃっ、みきっ、びきびきっ……ごりぃっ!!
「ぎひゃぁぁぁあ!!!??」
 レザーのレオタード、さらに肉鎖毎、肉棒は一葉の狭すぎる胎内へと押し込まれた。そ
の瞬間に身を引き裂くような激痛が少女くノ一の全身を支配した。あまりにも太すぎる物
で秘唇を拡張され、限界を超えた肉壺は血の気を失い、裂けてすらしまっていた。その傷
口にレザーレオタードの硬い布地、さらには肉棒の胴に生えていたイボがこすりつけられ
る。その度に、処女の脳天に苦痛の稲妻が何度も何度も直撃した。全身の神経が苦痛だけ
を感じるようにされてしまったのではないか、それほどまでの苦しみ。
 さらにイボは敏感な膣粘膜をずたずたに切り裂いた。それを、同時に侵入した布と肉鎖
が抉り抜く。
「あがっ……! が、ぐぁああぁぁぁ……!!」
 これだけで、既に少女の目は半ば白目を剥きかけていた。口の端からこぼれ落ちる涎は
カニのように泡状にすらなっている。
「あっ、あぅぅぅ……」
「さぁ、仲間は何処にいる? 何処に忍びこんでいる! いえっ!」
 男はそういいながら、一葉の華奢な身体を揺さぶる。
「ぎぇっ、くはぁぁぁぁぁぁううううっっ!!」
 一揺すりされるたびに、膣内奥深く、子宮口まで届いた剛棒が凶悪なまでの苦痛をもた
らした。先端部が鉛筆のように丸く尖った形状をしていたために、子宮口の輪にぴったり
はまりこみ、その部分すらも拡張し、子宮を叩き潰さんがばかりの打撃を加えてくるので
ある。こんな苦痛、今までに味わったことはなかった。女として生まれてきたことを、く
ノ一であることを後悔したくなるほどだった。
「言えばやめてやるっ。さあ言え、言ってしまえよ」
 妖魔は猫なで声で、一葉にささやきかける。苦痛に全てを支配された少女にとって、そ
の提案は拒みがたい物だった。仲間のことは無論大事だ。だが、今この苦痛から逃れられ
るのであれば、それさえも……。
(みんな、ごめん、ごめん………)
「いうっ……いいますから……もうしないで……」
 泣きそうな声と共に、一葉の口から数人のくノ一の居場所が語られた。確かに、その間
妖魔は一葉の身体を責めなかった。それだけでも、少女にとっては救われたような気分に
なる。
「これで、全部よ……」
 全てをしゃべりきったとたん、一葉はがくんと首をうなだれた。
「良くしゃべったなぁ……。さて、これでおまえは用済みって訳なんだが……。もうちょ
っと遊んでやるとするかな?」
 その台詞を聞いたとたん、少女の顔が真っ青になった。
「もう、止めてくれるって言ったじゃない!?」
「あぁ、言ったよ。だから、おまえがしゃべってる間止めてやってただろ? ずっと止め
てやるなんていってないぜ」
「う、うそ……ぐ、ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!」
 一葉は一瞬絶望的な表情になったが、それはすぐに苦痛の表情に変わった。再び胎内に
埋め込まれた極太肉棒が行動を開始したからである。
 ずんっ! ずんっ!
 と力強く、そしてリズミカルに突き上げる。その度に
「ぐぇっ! げぇっ!」
 っと、まるでカエルが押しつぶされるかのような無様な叫び声を上げてしまう。それも
仕方がないだろう。一度突き上げを喰らうたびにイボと肉鎖が襞の一枚一枚を削り取るよ
うに擦り上げられ、叩き付けられる。その衝撃が伝わるたびに肉体がバラバラになりそう
な程の苦痛を味合わされるのである。さらに、両脚に巻き付いた触手が強く一葉を下へと
引き下げていた。肉棒が突き上げると同時に、下げる。この繰り返しで凶悪な肉棒はさら
に奥まで達する事が出来た。先端は子宮口を割り裂き、子宮にまで到達していた。本来な
らば絶対に犯されるはずのない器官。その奥までを犯され、身体の隅々までを汚される壮
絶な苦痛に、くノ一少女は悶絶する以外のことは出来なかった。
 しかし、既に拷問という行為に悦びを見出し始めていた妖魔はその手を緩めない。
 一葉の腹は、身に余る極太を受け入れてレザーレオタードごしにもはっきりと分かるぐ
らいに膨らんでいた。その腹を、外側から肉鎖でぎゅうぎゅうと締め上げ始めたのである。
「ひぐぅっ、え、げぇええぇ……!」
 外からの締め付けでイボの密着度があがり、腹越しにトゲが見えるほどになる。ほとん
ど突き刺さっているような物で、一葉の苦痛は格段に増した。腹部を突き破られそうな感
触に、少女の身体が限界まで弓なりにのけ反り、そしてそこで意識を失った。あまりにも
激しすぎる苦痛の連続に、鍛え上げたくノ一の心と肉体も限界を迎えたのだ。
 両目は完全に白目をむき、口からは泡状の涎を垂れ流していた。秘唇のわずかな隙間か
ら、失禁したのか黄金水がちょろちょろと漏れ落ちていた。無惨としか言いようがない。
「くくく……。まだこんなもんじゃない、この程度じゃ終わらないんだぜ……!!」

 それから、一葉に対する拷問……いや、一方的な凌辱行為は一週間にわたって続いた。
皮肉なことに、くノ一として鍛え上げられた心身はそれだけの間、彼女を耐えさせたので
ある。だが、それは少女にとってはかえって不幸なことでしかなかっただろう。それだけ、
苦痛が長引いたのだから……。

 しばらくして、一葉の亡骸を写した写真がインターネット上にばらまかれた。テロリス
トグループの声明と共に。
 それを見た内情の仲間達は、復讐を誓い合う。仲間を無惨にも犯し殺した悪逆無道の組
織を必ず叩きつぶし、この償いをさせると。
 
 少女達の淫惨な戦いは、まだ始まったばかりである。